私の所属する技術部は、主力製品のエンジンベアリング、オートマチックトランスミッションなどに使われるブシュのほか、カークーラーコンプレッサ部品など、クルマにかかせない『すべり軸受』の開発と試験を行っています。特に私が手がけているのは、直径1.5センチの半球状の軸(シュ)と直径10センチほどの円盤の形をした軸受(斜板)です。長いもので3年をかけて開発する製品もあるんですよ!当社はトライボロジーという技術分野で多くの特許をもっています。
私たちが設計する部品は、何年先のクルマに搭載されると思いますか?
もちろん、モノによっても違いますが、少なくとも2〜3年先。未来の自動車に使われる次世代の軸受を設計しています。つまり、すべてが先行開発。常に新しい情報をキャッチして、お客様のニーズとコストに応えられるように、独自の発想で設計するしかない。幾度ものトライを繰り返しながら進みます。ひとつのモノを作るために構想段階から納品まで携わるので、量産にいたる頃には、もはや自分の子どものように愛着が湧いてくる。
少し想像してみてください。何も知らない若手時代から、いきなり未来のクルマの心臓部分の部品をゼロから作るんです。 モノづくりの酸いも甘いも、毎日イヤと言うほど味わえるでしょ?
「誰にでもチャンスが与えられる会社」。それを確信したのは、ちょうど私が4年目の頃です。
「アメリカの展示会にいってみるか?」
上司に声を掛けてもらって、私はひとりアメリカで行われる(コンプレッサ関係のメーカーが集まる)会合に出席できる機会ができたのです。机の上だけでは、新しい製品は生まれません。ときには、たくさんの情報に触れて、頭を柔らかくすることもエンジニアには必要なのです。
(ただでは帰れない!なにか情報を拾ってこよう!!)
初めての海外出張ということもあって、気合い十分。大豊工業自慢の部品サンプルをもって、乗り込みました。あるのは笑顔と意気込み。
『タイホウ』という名前が想像以上に世界で知られていることが分かったのは、アメリカでの会合の席です。私に声を掛けてくれるのは、各国のコンプレッサ開発に携わるメーカー。
「タイホウといえば、トライボロジーだよね? こういう大きさのものは作れるのかな?」
「この部品とあの部品の形状には、どういう特徴があるんだい?」
これ、もちろん英語での会話です(笑)
現地でおち合った英語堪能なスタッフに助けてもらいながら、身振り手振りで説明をしていきました。
「今度、もし可能ならここの部品設計をお願いしたい」
ありがたいことに、技術的にも可能で“仕事のタネ”になりそうな話も舞い込んできました。
帰国して、さっそく上司と仲間に報告。社内でもう一度検討して、「いけそうだ!」と見込みがついた時点で開発がスタートしたのです。自分のつかんだ情報から、先頭に立って新しいモノを生み出すのですから、プレッシャーも大きい。せっかくのチャンスは無駄にできない。とにかくがむしゃらに開発に没頭しました。
できた、これで間違いない!と思っても、品質が伴わなかったり‥‥
搭載するお客様の機械に仕様変更がはいったり‥‥
結局、最初の1ヶ月で大まかな案を2作つくり、それから何度も改良を重ねること3年。ようやく新製品を量産できる体制が整ったのです!ほんっっっとに長かった。少し自慢なんですが、この部品は業界初の作になりました。
トライボロジーという分野では、学術的な研究も実践的な技術力も、主流を走っている当社。それぞれのエンジニアが特許技術をとれるような独自性のある開発に取り組んでいます。ニーズに応えながら、コストを抑え、パフォーマンスを上げる。生みの苦しみも喜びも大いに味わえる環境です。
エンジニアを目指す人なら「その道のプロになるには、どんな環境で、どんな経験をつみたいのか?」を考えるべきではないでしょうか。そのためにも、「その会社のコア技術は何か?」が判断材料のひとつになると思います。技術があるからこそ、挑戦ができる。その意味で、大豊工業は新しいモノづくりをしたい人にとっては絶好の環境です。あと何より大事なのは「やってみたい!」という意志ですよ!