技術管理部の主な仕事は、新製品開発の進行管理。製品設計の品質、原価、特許等の達成度を審議する事務局を担当しています。そのほかにも、「今後、どういった商品を開発していくべきか」といった新製品の企画や、国内外に向けた商品の広報活動も担当しています。2007年9月には、ドイツで行われたフランクフルトモータショーに出展し、世界に大豊工業の軸受開発技術を紹介しました。
「今年は世界に向けて、大々的にウチの技術力をPRしましょうよ!」
会社の経営陣がこぞって集まる会議。役員たちの刺さるような視線を浴びながら、私は世界3大モーターショーの1つである『フランクフルトモーターショー2007』にブースを構えてみてはどうかと提案したのです。
ここ10年で、欧米や中国、東アジアなどに生産拠点を広げている当社。会社としても、グローバル事業をこれからさらに伸ばしたいという方針はありました。しかし、“広報”という面では、まだまだ保守的で、私自身ずっと歯がゆさを感じていました。それだけに、今回のフランクフルトモーターショーへの参加は、大きな賭けとも言える企画。会議では苦労して作った資料とプレゼンで経営陣を納得させ、1年がかりのモーターショー出展プロジェクトが動きだしたのです。
「さあ、準備に取りかかるぞ!」
とはいっても、会場はドイツ‥‥。準備をするにも、国内でのイベントとは規模が違うわけです。船便は2ヶ月前から手配して、ブースや資料の表記もドイツ語に翻訳して‥‥。後輩の手を借りながら、1つずつ手探りでクリアしていきました。何よりも頭を悩ませたのは、ブースの見せ方。「軸受」という小さい部品を、いかにインパクトを持たせて展示できるかが最大の課題でした。海外出展経験のある企業にアドバイスをもらいながら、パネルのレイアウトやプレゼンの内容を社内で何度も話し合いました。そうこうして迎えた2007年9月。プレッシャーを抱えながらも、きらびやかなモーターショーに想いを馳せ、フランクフルト行きの便に乗り込んだのです。
ステージ上にライトアップされた高級車の数々‥‥。その周りには、世界各国からの報道陣や見物客が群がっている‥‥。
「すごい!これが本場のモーターショーかぁ‥‥」
会場に入った途端、そのスケール感とグローバルな雰囲気に圧倒されました。興奮を抑えながら、足早に大豊工業のブースへ。プレゼンの段取り、見物客への商品説明など、本番もやるべきことは山ほどありましたから。
「この軸受は鉛フリー材料で作られていて、かつ加工もしやすく‥‥」
トヨタのハイブリッド車を筆頭に、環境への配慮がショーの大きなテーマ。私たちの展示やプレゼンも、鉛フリー材料の軸受製品とトライボロジー研究をメインにしました。エンジンの中に組み込まれている小さな部品ではありますが、これがないとエンジンとして機能しない。「心臓のなかの心臓を作っている」という自負はあります。説明にもついつい熱が入ってしまいました。
10日間に及ぶモーターショー。ヘトヘトになりましたが、幸い大きなトラブルもなく幕を閉じることができました。気になる企業や見物客の反応‥‥ですが、みんな興味深そうに説明を聞いてくれました。ただ、欧米の人たちっておしゃべり好きで、資料も読まずに「これ何なの?どんな機能があるの?」と質問攻めしてくるんですよ。英語が苦手な私にとっては、即興で説明するのにかなり苦戦しました。それでも、世界の自動車メーカーと同じフィールドに立って、お互いの取り組みを学べたことは、私自身にとっても大きな刺激に。「思いきって何かをやらないと、次に何も生まれてこない」ということを肌で実感しました。
学生の間に、自分の興味の持てることを見つけて、それを仕事に活かしていくのが一番だと思います。英語もそうですが、「いつか役に立つときがくる」と思ってコツコツ勉強しておくと、社会人になって困らずに済みますよ(笑)